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クリストフ・コッホの授業

カリフォルニア工科大学(通称カルテク)では、クリストフ・コッホの脳と意識についての授業がある。大部分の情報がウェブ上で閲覧できるので、これから勉強しようという人には役に立つだろう。また、既に脳について詳しい専門家の方が見ても面白いだろう。

とくに2003年の授業のストリーミングビデオが見どころだ。クリストフがどういう人で、どんなしゃべり方かなど知らなかった人には意外と衝撃的ではないだろうか。意識について話すためのゾンビが入っているかのようだ。

意識に興味があってこれから勉強しようというひとにおすすめです。


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Anatomy of Time Workshop at UCL

Time Perceptionの研究の歴史は長いが、時間の長さの知覚が脳内でどう表現されているかという問題は、古くさい心理学の論文ばかりで割と最近まで真剣にニューロサイエンスは扱ってこなかった。

昔からの時間知覚を研究してきた心理学者と、新しく出てきた視覚の心理物理学者の間で若干ギャップがあるようだ。2007年3月にロンドンで、時間の知覚についてのワークショップがある(詳細は以下の通り)が、時間知覚について、新旧の研究者間での交流の場として興味深い。多方面の時間研究者が集まることになっている。私自身の研究分野からすると、MorroneやWalshはなじみが深いが、Wearden、Ivry、Rammsayerなど前から時間を研究しているから論文は知っているが、あまりpsychophysistとしては共感の持てないという印象を持っていた。それでも、現在のはやりで時間の分野に流入していく視覚研究者よりもずっと前から時間知覚に注目してきた人たちはどういう人か気になる。いまのところ参加予定中。

UCL INSTITUTE OF COGNITIVE NEUROSCIENCE

ANATOMY OF TIME WORKSHOP

Saturday 24 March, 2007

Hosted by Dr Penny Lewis & Professor Vincent Walsh

Venue:  Institute of Cognitive Neuroscience, Alexandra House, 17 Queen Square, London  WC1N 3AR

9.15 – 9.45        Coffee and Registration

9.45 – 10.00        Introduction by Workshop Host
            Professor Vincent Walsh, UCL Institute of Cognitive Neuroscience

            Chair: Professor Richard Ivry

10.00 – 10.45    Professor Charalambos P Kyriacou
Department of Genetics, University of Leicester
THEME:    Genetics of time from flies to humans

10.45 – 11.30    Professor Concetta Morrone
Dept of Psychology, University of Florence & Institute of Neuroscience, Pisa
THEME:        Spatio-temporal compression and saccades 

    11.30 – 12.15        Professor Peter Dayan
                Gatsby Computational Neuroscience Unit, University College London
    THEME:        Temporal differencing            

12.15 – 13.45        Lunch

            Chair: Professor John Wearden

13.45 – 14.30        Professor Thomas Rammsayer
Georg-Elias-Müller-Institut für Psychologie, Universität Göttingen
    THEME:        Pharmacology of Time Perception

14.30 – 15.15        Dr Domenica Bueti
            UCL Institute of Cognitive Neuroscience
THEME:        Differences between perception and action timing and timing in sensory cortex

15.15 – 16.00        Dr Penny Lewis
            School of Psychology, University of Liverpool            
THEME:        Fronto-parietal and subcortical distinctions in automatic and cognitive timing       

16.00 – 16.30        Tea

16.30 – 17.15        Professor Nicola Clayton
                    Comparative Psychology of Learning & Cognition Lab, University of Cambridge
THEME:        Mental time travel in animals    

17.15 – 18.00        General Discussion
                Discussant:  Professor John Wearden
                School of Psychology, University of Keele

REGISTRATION:  To attend the WORKSHOP you MUST register
Please contact: Rosalyn Lawrence, Secretary, Institute of Cognitive Neuroscience.  Email: rosalyn.lawrence@ucl.ac.uk


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Suns in Boston

二月の初頭にボストンで開催されるシンポジウムでSUNS07 というのがある。ボストンということだけあって、おもしろいスピーカーがそろっているので参加したい。

帰ってきたら内容を報告しようと思う。



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Libet

科学的手法で脳活動がいかに意識を生み出すかという問題に対するアプローチには、いろいろな種類がある。Binocular Rivalryなどをつかって、主観的知覚と物理的刺激を分離することで、電気生理とfMRIで知覚に対応する主観的知覚に対応する神経活動を見つけ出すというアプローチがもっとも直接的な手法といえるだろう。

その一方で、脳の中で時間(特にタイミング)がどのようにニューロンによって表象されているかという問題は、まだまだ研究していかなければならない分野である。

ここでは、ベンジャミン・リベットの『マインド・タイム 脳と意識の時間』という本(原題:Mind Time: The Temporal Factor In Consciousness )を薦めたい。

リベットは意識の生じるタイミングについて、脳内の活動が我々が世界を感じるときの時間感覚と対応していないと考えている。感覚刺激の入力によって引き起こされる一連の神経活動がそのままの順番で我々の知覚となっているわけではないという仮説だ。例えば、誰かに手のひらを触れられたときとか、テレビで場面が急に切り替わって別の人が映されたときに、感覚情報を司る脳の部位でtransientな反応が生じる。リベットのバックリファレル(back referrel)仮説では、transientな神経活動の内容自体は意識に直接のぼらないが、それより後で形成される安定した神経活動が意識にのぼり、その意識的知覚はその前のtransientな活動の時点から始まっていると脳内で解釈されているという考えである。その根拠として、リベットは人間のsomatosensory areaを直接刺激すると、主観的には知覚が生じたタイミングが、皮膚を触られた場合と比べて遅くなっているという実験をしている。皮膚からの神経伝達の時間などを考慮すると、直接脳を電気で刺激した方が、はやく知覚が生じても良さそうなのだが、実際にはその正反対の結果となっている。リベットは、脳を直接電気刺激した場合にはtransientな反応がないため、back referralが起こらずに刺激を感じ始めるタイミングが遅れてしまうと考えている。

このような知覚現象は現代ではたくさん知られている。例えばフラッシュラグ効果 を説明するためにDavid EaglemanPostdiction という仮説を提唱した。知覚の内容はその直後の出来事で再編集されるという考え方である。フラッシュラグについてはまた後日じっくり書こうと思う。

もう一つリベットの研究で面白いのは自由意志の問題だ。マインド・タイムは自由意志と上で述べた知覚のタイミングの話、それと最後にちょっとクレイジーな仮説から構成されている。正直なところ、その最後のクレイジーな仮説に説得力があるようには思えないが、科学的に検証可能(正しいか正しくないか実験で決着を付けることが可能という意味)ではある。

リベットの研究した問題というのは、ユニークでまだまだアイデア次第でおもしろい研究に結びつくようだ。リベットの個別の論点については、現代の視点からみると物足りない部分もある。それでも、意識にとって時間というテーマは深淵で常に新鮮な驚きを与えてくれる。


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はじまり

初めまして。

いま、脳や意識の問題に興味を抱く人たちは多いようだ。テレビや一般書でも「海馬」や「シナプス」といった言葉が日常にまで浸透してきている。

このブログでは、これから脳や意識の研究に将来関わっていきたい情熱のある若い人たち(高校生や大学生)や、しっかり脳について勉強したい方々に情報を提供したいと思っている。私は、現在カリフォルニア工科大学でポスドクをしている脳の研究者です。最先端の脳科学や意識研究について勉強していく指針となるような教科書のレヴューやおすすめの論文を紹介していこうと思う。

去年(2005年)、京都大学時代からのライバルで親友でもある土谷と共に、クリストフ・コッホ氏の『意識の探求』   を翻訳出版した。

意識の探求―神経科学からのアプローチ (上)
意識の探求―神経科学からのアプローチ (下)

この本を読めば、現時点での科学的立場からの意識研究の現状がどのようなものであるかの概要をつかむことができる。脳科学の真面目な本を初めて読む人には、教科書のようでなかなか難しい内容かもしれない。知的好奇心のある高校生・大学生が読んで、なぜ意識の研究が面白いのかに気づいてもらいたい。さらに、この本のいいところは、しっかり読めば、視覚(ヴィジョン)についてのニューロサイエンスについての基礎が身に付く。

翻訳者として言うのは変かもしれないが、英語は科学者にとって表現の手段なので、やる気のある人には原著で読んでもらいたい。

 The Quest for Consciousness: A Neurobiological Approach
 

私自身の経験で、大学でニューロサイエンス全体を見渡せるような授業がなかったことが非常に残念だった。ニューロサイエンスというのは脳すべてのことである。あらゆるスケール(分子レベルからネットワークレベルなど)とあらゆる脳の機能(視覚や運動など)がテーマなのだから、ニューロサイエンスを志すものは非常に多くのことを学ばなければならない。私自身がなにもかもわかっているとは到底いえたものではないが、これから脳科学を勉強したいと思っている方には、多少なりともアドヴァイスをすることはできると思う。

学会などでみつけた、おもしろい話なども紹介していこうと思う。

では

金井良太


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