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On Intelligence

On Intelligence Book On Intelligence

著者:Jeff Hawkins,Sandra Blakeslee
販売元:Owl Books
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この本を読んだのは、一年以上まえだ。ちょうどその頃、意識の問題に挑む戦略として、「ダーウィン作戦」がいいかもしれないと考えていた。ダーウィンが「進化」という概念を提唱することで、「生命」という現象がシステムとして理解できるようになった。もしかしたら、脳科学において、生物学における進化に対応するようなアイデアがまだ出ていないから、意識という現象が理解できずにいるのかもしれない。だとすると、脳科学における画期的なアイデアというのを最初に出すことが重要だ。自分は、脳科学での事実を十分に観察して、あらたな概念にたどり着くような考察を加えているだろうか。積極的に、現在わかっていることから、あらたな概念を導きだすように考えることが必要ではないか。そう考えていた。

このジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)の『On Intelligence』 は、まさに「ダーウィン作戦」で脳に挑んでいて、ショックを受けた。

日本語版は↓。(英語版しか見ていないから、日本語訳がいいかは知らない)

考える脳 考えるコンピューター Book 考える脳 考えるコンピューター

著者:ジェフ・ホーキンス,サンドラ・ブレイクスリー
販売元:ランダムハウス講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


そもそも脳のやっていることの本質は何か?というところから著者は考えている。著者の結論は、脳の主な機能は「経験や記憶に基づいた未来の予測」ということになる。神経科学の本として読むと、大雑把でやや内容は乏しいと思う人がいるかもしれない。

実際に、専門的には書かれていないが、Olshausenなどのスパース・コーディングやICAのような、unsupervised learningが念頭にあることは明らかだ。興味のあるひとが、ここからたどっていけるように、いくつか下に関連論文へのリンクを貼っておいた。

Olshausen & Field (1996). Nature
Olshausen & Field (2004). Curr Opinion Neurobiol.
Simoncelli & Olshausen (2001) Annu Rev Neurosci.
Bell & Sejnowski (1997). Vis Res.

それから、著者のジェフ・ホーキンス(Jeff Hawkins)の経歴がとても変わっている。この本によると、ずっと脳を研究したかったのだが、うまく大学院に行けなかったり、紆余曲折あって、エンジニアとして成功した後で、脳へカムバックしている。この人の経歴を聞くと、脳研究がしたいと思っていても現実的に直接関われずにいてどうしようかと悩んでいる人には、励みになると思う。

ジェフ・ホーキンスのダーウィン作戦が成功かというと、まだ、これで答えだと納得はできない。でも、細かい専門家しかわからない研究ばかりしてないで、新しい考え方を提唱するというのも科学者にとって大きな仕事だと思う。


自分のサイト(論文とイリュージョンデモを置いています)

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「脳と意識を学ぶための10冊」カテゴリの記事

コメント

On Intelligence, 日本語訳でも十分に楽しめたよ(いいかげん英語で読みなさいって?)。プロではない私でも面白かったです。イントロに書いてあった、異星人が地球の道路をどう解釈するかのたとえがとても印象的でした。

投稿: 美知 | 2007年2月25日 (日) 17時38分

英語にも挑戦してみてください。

たぶん、この本はけっこうポピュラーなのでaudiobookも出ているから、英語の勉強にももってこいだと思う。

でも、the brainじゃなくて、brainsってこの著者が書くのが、どうも気になった。何人かネイティブのひとにどっちがかっこいいかと聞いても,やっぱりthe brainの方がいいんじゃないかっていってたし。

how brains work, より how the brain worksの方がしっくり来る。

投稿: 金井 | 2007年3月 1日 (木) 21時41分

原著注文しました。
また読んだらコメントさせてください。

著者の意図は分からないけど、

how brains work

だと、すこし突き放したニュアンスになると思う。

投稿: まさ | 2007年3月 1日 (木) 23時25分

まささん。

読んだら、感想聞かせてください。

最近、ブログを更新できない。したいけど、conflict of interectが発生しがちだ。

あと、いまcrossmodalの論文を書いていて、Spence地獄だった。あまりに論文が多くて、いったい何をやったのかわからない。けっこう、Spence自身がfirst authorで書いてる論文はクゥオリティ高い(しかも、長い)。


投稿: 金井 | 2007年3月 2日 (金) 00時06分

crossmodal はBhavinとのやつ??
このblogでも紹介してたよね。

こちらは、ようやくこの間のVSSネタを投稿できて
ほっとしているところですよ。

投稿: まさ | 2007年3月 2日 (金) 20時13分

そうあの昔からやってるやつ。

かなりSpenceがレヴューする可能性が高いから、予習しておいた。

Spenceのページ(http://psyweb.psy.ox.ac.uk/xmodal/)をみるとわかるけど、とんでもない量の論文を出している。どうしたらこういうことになるのか、想像がつかない。よく見ると、それぞれの人が、よくがんばってる結果こういうことになってるんだなと理解はできる。

このまえのVSSのネタだったら、たぶんまささんのネタの方がいいと思う。けっこう、VSS中あれがおもしろかったって言ってた人いたよ。

投稿: 金井 | 2007年3月 2日 (金) 20時24分

トラバさせて頂きました。本の紹介ありがとうございました。面白かったです。

投稿: ykenko1 | 2007年10月31日 (水) 11時42分

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『考える脳、考えるコンピューター』ジェフ・ホーキンス 金井さんのブログ(“脳と意識の最先端を目指そう”)に紹介されていた本。本屋で表紙や題名だけを見たら手に取る気にはならないだろうし、実際以前目にした事があったが気にも留めなかった。しかしこれがまた面白かった。(原書の見かけはそれなりの雰囲気なのに、翻訳本はどうしてこうも雰囲気が変わってしまうのだろう?) ホーキンスさんは経歴が変わっていて、脳について研究し更にそれに基づいて人工知能を作りたいという目標を持っていたのだが、それを受け入れて... [続きを読む]

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