« V.S. Ramachandran | トップページ | 心の哲学について »

アルファ波ってなに?

アルファ波っていう言葉を耳にしたことがあるかもしれない。リラックしているときなどに、脳からでているっていう脳波だ。アルファ波が存在することは間違えないが、神経科学者にとっては扱いにくく、やや謎めいた存在である。EEGの実験をしていると、疲れてぼーっとしてると出てるのがわかる。

アルファ波には、実はいろいろ種類がある。一番よく知られているのは、頭の後ろの視覚野からでているアルファ波と、それとは独立だといわれる前頭葉から出ているアルファ波がある。独立だという根拠は、同一人物のアルファ波でも、場所によって周期が違うからだ。

同じような脳波は運動に関わる脳部位からも、聴覚に関わる脳部位からも出ている。それらは、μ(ミュー)波、τ(タウ)波と別の名前が付けられているが、周波数的にも、機能的にも似ている。

これらの10ヘルツ前後の脳波は、それぞれの脳部位を活動させるような、入力がないときに現れる。ちなみにラットなどの夜行性動物には視覚野のからのアルファ波がないらしい。(BuzsakiのRhythms of the Brain より。)アルファ波は目を閉じると現れて、目を開くとブロックされる。同様に、τは音を聞くとブロックされ、μは運動をしようとするとブロックされる。つまり、どれも脳がアイドリング状態にあるときに出ているようなのである。

Libetの実験では、自分が自由意志に基づいて行動を起こそうとするよりまえに、脳波でReadiness Potentialというのが観測されるといっている。Libetは0.5秒前にReadiness Potentialが見え始めるということから、自由意志は自分が気づく前に既に決まっていると議論している。トライアルごとにReadiness Potentialから、無意識の意図を解読するというのは至難の業だが、μ波も同じような目的に使えるのではないか。ミューはのパワーは運動が始まる2秒前にすでに低下し始める。これはいかにも読み取れそうだ。Readiness PotentialはDCのシフトだから、けっこう難しいかもしれない。

さらに、視覚野のα波に関して、おもしろい仮説がある。アルファ波の一つ一つの波が心の中の一瞬と対応しているのではないかというかなりワイルドな仮説だ。これはかなり昔からある仮説で、さまざまな実験が過去にある。しかし、この理論を支持するデータもあれば(Varelaなど)、支持しないデータもあって、結論はでていない。詳しいことを知りたい人には、VanRullen & Kochのレヴュー をすすめる。

意味ありげで、昔から知られているアルファ波だが、いったいどういう仕組みでそのような振動が脳内で起きているのかはわかっていない。アルファ型の脳波が観測されるのは、主に視覚でいえばLGNのような外界との第一次中継点となっている視床の部位とつながっているところだ。そ れと、LGNへのフィードバックを切ると、アルファ波がなくなったというネコの実験もある。大脳視床間とのthalamocortical loopが深く関わっているということが言われている。Nunez (2000)のレヴュー も読むべし。

前頭葉のアルファ波にも、前頭葉の部位に対応した視床の核があって、特定の一次機能(思考や計画について、一次ってなんだろう)と対応しているのだろうか。


金井良太のサイトおすすめの英語の本リスト

 ←もし内容に共感が持てたら、これをクリックしてください。このブログの順位が上がって、より多くのひとに見てもらうことができるようになります。


このブログのランキング


|

« V.S. Ramachandran | トップページ | 心の哲学について »

「論文紹介」カテゴリの記事

コメント

Nunez 00 BBS を途中まで読んだ。
このレビュー、長いし、何が言いたいんだかわからんし、おもしろくないから最後まで読む気がしない。

金井はこのレビューのどういうところが面白いと思ったの?

これ重要か?

投稿: 土谷 | 2007年3月18日 (日) 00時59分

このレヴューはいかにも土谷が嫌いそうなレヴューかもしれない。無駄ではっきりしない議論が長い。

とくに著者自身の一般的なフリをして、ぜんぜん説得力のないモデルとか腹が立つんだと思う。おれも、そこんところはよくわからないから、基本的に飛ばした。まともに理解しようとすると、無駄な時間を取られる。たしかにあまりいい文献ではない(反省)。

このレヴューのおもしろいところは、アルファ波についてレヴューをしている前半で、low frequencyでlong rangeのsynchronizationが起きている実験とかについて。あと、中間の訳わからないところを突破した後で、alpha waveのtraveling waveとか面白い現象がでてくるあたり。

投稿: 金井 | 2007年3月18日 (日) 13時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/207912/5298986

この記事へのトラックバック一覧です: アルファ波ってなに?:

« V.S. Ramachandran | トップページ | 心の哲学について »