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Suns@MITの報告: Boundary Extension and RSC

二月の初頭にボストンでSuns というシンポジウムを見に行った。そこで話している人たちが、そうそうたるメンバーだったから楽しみにしていた。

すべてのトークについて細かく書いていく時間はないが、印象深かったものを少しずつ書き留めておこうと思う。

一番最初のHelene IntraubのトークはBoundary Extensionという心理学の現象についてだった。それは下のような写真を見てから、記憶にたよって後でその写真を描いてもらうと、ほとんどのひとが写真には写っていない外側の部分まで描いてしまうという現象だ。写真のイメージが、記憶の中でそこから想像させられるところまで広がっているようなのだ。

Picture_5_1








元の写真がワイドアングルだと、さらに記憶の中では広がる。

Picture_6_1








Intraub & Richardson (1989)より。


この現象自体は、確かに存在するようだが、そこまで意味のある現象だとは今まで思っていなかった。景色の記憶の研究としては、ほんの一面しかとらえていないように思えたからだ。

その後のMarvin Chunのトークを聞いて、その考えを改めさせられた。彼らは、fMRIで同じ写真を二度みせたときのadaptationの度合いを調べた。fMRI adaptationとうパラダイムだ。一度目にクローズアップの写真を見せたら、記憶の中でそれがワイドアングルになっているから、あたかも同じ写真を二枚見せているかのように、アダプテーションが起きるだろうという論理だ。その条件と、先にワイドアングルを見せてからクローズアップを見せる条件とを、場所に選択的に反応する脳の領域、PPA(parahippocampal place area)とRSC(retrosplenial cortex)で比べた。

同じ二枚の写真を見せているにも関わらず、クローズアップ、ワイドアングルの順で見せたときだけに、アダプテーションがRSCで起きていた。PPAは、おなじクローズアップ(またはワイドアングル)を二回連続で見せたときに大きなアダプテーションを示していた。

この研究の意義は:

  • Boundary extensionがRSCの活動としてリアルになったということ。
  • RSCとPPAの機能的な違いを示していること。
  • その結果として、Boundary extensionをassociativeな記憶として扱う視点が生まれたこと。

その後で、Moshe Bar が話した。BarはRSCがコンテクストの分析に関わっているといっていて(Bar (2004))、Chunの発見はその話ともぴったり一致する結果だ。

RSCに今まであまり注意していなかったが、これからもっと研究が盛んになるだろう。



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コメント

この現象自体と、そのneuronal correlateがPPAとRSCで見つかったってのは専門的には少し面白いかもしれないけど、あまり意識の研究との関係が伝わってこないな。

投稿: 土谷 | 2007年2月15日 (木) 05時14分

たしかに、土谷のいうように、あまり直接は意識と関係してないかもな。

ちょっとだけ思うところがあるから、もうすこし考えがまとまったらまとめて書く。

投稿: 金井 | 2007年2月15日 (木) 13時18分

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