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動物の心と自閉症

いま、Temple Grandinという人の、Animals in Translation という本を読んでいる。

Animals in Translation: Using the Mysteries of Autism to Decode Animal Behavior Book Animals in Translation: Using the Mysteries of Autism to Decode Animal Behavior

著者:Temple Grandin,Catherine Johnson
販売元:Scribner
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日本語では、『動物感覚』というなかなかいいタイトルがついている。

動物感覚―アニマル・マインドを読み解く Book 動物感覚―アニマル・マインドを読み解く

著者:テンプル グランディン,キャサリン ジョンソン
販売元:日本放送出版協会
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実際には、読んでいるというよりは、本の朗読をダウンロードしてiPodで聴いている。この本には、なかなか面白いことが書いてある。

まず、この著者は自分が自閉症だと自ら認めていて、だからこそ動物の気持ちがわかると言っている。これは、自閉症と「心の理論(Theory  of Mind)」の関係を知っている人にとっては、変な感じがするだろう。自閉症の人は、他人の気持ちを理解・推測する能力に欠陥があるという仮説だ。人の気持ちよりも、動物の気持ちの方がわかるというのはどうも難しいように思える。

著者は、この本のなかで、何度も動物と自閉症の類似点を指摘している。細部に注意が向くことや、生活環境の変化を極端に嫌うこと、痛みに対する反応が普通の人間に比べて小さいことなどだ。逆に言えば、動物というのは自閉症のようなものだということになる。

この本ででてくる、痛みについての話がおもしろい。アントニオ・ダマシオのDescartes' Error にも出てくる話だ。昔は、痛みに苦しんでいる人(疼痛)の前頭葉に切れ目を入れる手術というのをしていたらしい。元の論文をみていないから、詳しいことはわからないが、前頭葉の一部をとってしまうというよりは、つながりを切ってしまうような手術らしい。

そのような手術を受けた人は、痛みというのは感じるのだが、痛みに対する不快感が減少するらしい。痛みと不快感というのは切っても切れない関係のようだが、脳を切れば切れるらしい。

これで、面白いと思うのは、痛みのクオリアそのものは変わっていないようだということだ。痛みに伴う不快感のクオリアがなくなったともいえるかもしれないが、おもしろい状況だ。

痛みとprefrontal cortex (PFC)の関係というのは至る所にでてくるが、よく知らない。少し調べてみると、Caseyというミシガンにいる人の研究では、DLPFCが中脳の活動を抑えることで、痛みの感覚を減らすという機能をもっているらしい。スポーツに集中してて、怪我の痛みに気づかないとかは、こういう状況だろう。この抑制はこの前のTsushima論文などとも通じるところがある。このことから、DLPFCをきっても、痛みはなくならないどころか、抑えることができなくなってしまう。

むしろ、痛みと直接関係しているのは、ventromedial OFCらしい。おそらく、切断されているのはOFCへのコネクションだろう。

痛みの話の他にも、行動学の視点から犬のしつけの仕方とか書いてあって面白い本だった。

それから、著者が18歳の時にスキナーという行動主義の代表のような人を訪ねて、緊張しながらハーバードまで会いに行ったら、セクハラにあったみたいなことも書いてあった。スキナーはただのエロオヤジなのか。

あと、セロトニンとボスサルの関係についての話もおもしろい。セロトニンが脳内に増える薬をあたえると、ボスサルになるらしい。人間もプロザックを飲めば、ボスとしての品格がもてるようになるのだろうか。

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