« 脳の進化と社会性 | トップページ | Prefrontalのtemplate »

UCLの印象

ロンドンに引っ越して来てから1ヶ月以上経った。

今はUCL(University College London)という大学のVincent Walshのラボで、今後の実験の計画を立てたり、少しずつアイデアを試しながら、おもしろいことに出くわすのを待っている。例えていうならば、ちょっと釣りみたいな感じかもしれない。

周りの人は、けっこう変わったテーマの研究をしている人が多い。Synaesthesia(日本語で、「共感覚」と訳されている。文字に色がついて見えたり、感覚が混ざっている人)とか、numerosity(数字の大きさとか、数が多いか少ないかの認知)とか、催眠術とか、さらには寝ている人の脳を電気で刺激したらどうかとか、面白そうだけど、なかなか研究するのが大変そうなテーマを扱っているひとが多い。というか最初に来たときの印象では、全員がnumerosityかsynaesthesiaだった。

今まで、ずっと主に視覚をやるラボにばかりいたから、最初はモニターのボロさに驚いたけど、そのかわりTMSが強みのラボというだけあって、あらゆる実験セットアップにTMSという脳を電磁誘導で刺激する機械がついている。しかも、theta burst stimulationという強力な効果のある刺激方法(Huang et al. 2005 )を普通に使っている。

ロンドンに来る前に、いまのUCLのボスにいわれたことで、「ロンドンは、神経科学者の数がクリティカル・マスを越えてるからすごいんだ」といわれたとこをよく思い出す。今いるところはICN(Institute of Cognitive Neuroscience)というところだけど、同じ建物にはGatsbyがあり、となりはFILでpsychologyにいけばAlan Johnstonもいるし、computer scienceでもvision関係のひとがいる。City Universityというのもあって、journal clubとか合同でやったりする。なんというか、街中に研究テーマ的に近い人がたくさんいるうえに、交流が濃い。それから、Birkbeck Collegeというのもあって、今自分がいるラボでの、EEG/TMSの実験とかfMRIはBirkbeckでやることが多い。この一ヶ月の間は、平均1日5人ぐらい新しいひとに会い続けていた。会ったからどうだってことではないけど、とくにTMSのノウハウを伝授してもらっているのがありがたい。

カルテクにいたときは、Brainsightという機械をつかって、特定のエリアをターゲットするのに、まずfMRIやって、それからTMSでねらって、そしてちゃんと眼球運動が始まるまでの時間が遅くなってるから、FEFにあたっているだろうとか確信を持つまでに時間がかかっていて、一番知りたい問題を解決するというところ以外での格闘に時間がかかっていた。UCLで感じるのは、そういうステップを既に踏んで複数の方法を比べた経験のある人などが、そういう技術的に気になるところをすでに解決した経験があるから、自分でやって気になっていたとことがすっきりわかって、実験もすすむ。実験をしようとする時に発生する微妙な問題の解決法というのを経験者はもっている。そういう経験の蓄積の層の厚さに毎日感動させられる。



|

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/207912/9316213

この記事へのトラックバック一覧です: UCLの印象:

コメント

コメントを書く