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nature precedings

前から聞いてはいたけど、今日初めてnature precedingsのサイトを見た。

peer reviewを受けてからパブリッシュされた論文ではなくて、まだどこの雑誌にもでていない原稿をウェブ上にアップして、科学者同士の情報交換を促進するのが目的らしい。物理では、arXiv.orgという出版前の論文のデータベースがあったらしいが、それの自然科学全般に拡張したのがnature precedingsの趣旨だ。

インターネットによって、普段の生活が産業革命なみにぜんぜん違うものになったというのは、ほとんどの人が感じていることかもしれないが、科学の研究の発表のする形式というのも確実にかわっていくだろう。

いきなり、ここに自分のまだ発表していない論文をおくのは危険があると感じる人も多いだろう。危険の一つは、自分の論文が正式に出版される前に、ほかの人に先を越されてしまうかもしれないということ。もう一つは、今のところ雑誌によっては、こういう形式で過去に発表したものを出版してくれるか不明な場合が多いこと。後者の方は、nature precedingsの認知度があがって、科学者がその意義を認めるようになれば問題ではなくなるだろう。おそらく、そうなるのは予想がつく。前者の方は、今のところ何ともいえない。関係の深い研究をしている人同士が、競争相手となるのではなくて、コラボレーションして興味の追求を一緒に楽しむ関係になれば問題はある程度解決するかもしれない。

論文の質の評価の仕組みもきっとかわってくるだろう。今までは、数人のエリート専門家の意見で論文が出版されるかどうかが判断されていたのが、人気投票のような要素が入ってくるかもしれない。それがいいことか悪いことかはわからないが、それも一つのシステムとして機能するだろう。エリート専門家の意見というのは、不公平のように思えることもあるかもしれないが、時にはそういう人の経験に基づいた意見というのも重要だ。なにがシステムとして一番いいのかは、正直なところわからない。物理のarXiv.orgってのはうまくいってるのだろうか。科学者同士のコミュニケーションのスピードがあがるのは間違いないだろう。

で、実際にprecedingsのニューロサイエンス関連の論文を見てみると、まだ出版されていない面白い論文が結構あった。基本的に、natureとnature neuroscienceに投稿した論文は、online submissionのページから直接precedingsに投稿した論文をおくことができる。natureとかnature neuroscienceに投稿するということは、実際に出版までたどり着くかはともかく、それぞれに研究者たちが自信をもっている研究だから、けっこうレベルは高めの印象だ。CorbettaのラボからのIPSとアルファ波と注意の論文とか、Livingstoneのラボからのモーションインデューストブラインドネス(MIB)の電気整理の論文とか、解剖とタンパク質の観点からの怪しげな意識についての仮説とか、David Burr & John Rossの数量に対するadaptationとか気になる論文がたくさんある。

ざっと見たところ、面白そうなのと、あまり興味が持てないのと、玉石混合な感じもするが全体的にはかなり面白そうだ。これは間違えなく、重要な情報源だからさっそくGoogle Readerに入れておいた。

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