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tDCSでアルツハイマーの患者の記憶力をあげることができる

今まで何度かこのブログでtDCS(transcranial direct current stimulation)について書いてきた。自分自身でも、ほんとに効果があるのか気になっていくつか実験をしてきたけれど、それなりに実験の種類によっては、本当に脳の機能を一時的にあげることができるということを示すデータがとれている。

ただ、どこをどう電流が流れているかわからないから、具体的にターゲットの部位の機能を調べるための研究手法としては非常に粗いと言わざるをえない。

そのかわり、実際に脳機能障害のある患者の機能をあげるなどの、臨床への応用を目指している研究には驚かされる。割と最近イタリアのグループから、「アルツハイマーの傾向のある患者の記憶力を一時的にあげることができる」という研究論文がでた (リンク)。

1.5mAで15分間、temporoparital areaを両側ともanodeで刺激するというものだったけれど、特に強力な刺激ではないから、今後徐々に安全を確認しつつ刺激時間をのばすことが可能になれば、いつかずっと刺激装置をつけっぱなしで生活するようなことも可能になるだろう。ドイツでは実験的に疼痛の治療に家庭でつかってもらうことも試されている。

なんでそもそもtDCSで脳をdepolarizeすると機能があがったりするのかというのは、本当のところはよくわからない。いま主に考えられているのは、ニューロンの樹上突起がある側と細胞体の間の電位差によって、細胞体側での膜電位が脱分極された状態になり、自発的発火頻度がanodeで刺激すると上がりcathodeで刺激すると下がるというものだ。

いまのところの印象では、tDCSは脳の患者の機能回復に使うのに一番適していそうだ。研究では、TMSで刺激すると感触として痛かったり不快感のある前の方を狙うのには利点がありそうだ。いまDLPFCとかOFCもtDCSで刺激しているが、確かに効果がある。もう一つ、今論文を出そうとしている新しいテクニックもあるが、それは論文がでたら説明したい。

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