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Transcranial Alternating Current Stimulation (tACS)

ついに一年前にロンドンに来てから初の論文がでた。

Kanai, R., Chaieb, L., Antal, A., Walsh, V. & Paulus, W. (2008). Frequency-dependent electrical stimulation of the visual cortex. Current Biology

基本コンセプトは、頭皮につけた電極から脳波に近い周波数で電流を脳に送り込むと、フォスフィンという光が見えるという内容。TMSで視覚野を刺激をしてもフォスフィンは見えるが、TMSだと一瞬しか見えないものが、この論文で紹介しているTranscranial Alternating Current Stimulationという新しいテクニックを使えば、ずっと見えっぱなしにすることができる。

なんでこの刺激でフォスフィンが見えるのかというメカニズムについては、今の時点では予想はできてもはっきりした答えはない。いまのところは、EEGで観測される周波数と共鳴現象のようなことが起きているのではないかと考えている。

今後は、これまでEEGの周波数解析ででてくるような振動を直接脳に送り込むことで、ベータ波やガンマ波を外から変化させることで、脳内の振動現象の機能的な意味を解明する手法として役に立てばいいなと思う。

 

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NIH VideoCasting

NIH VideoCastingというサービスがって、NIHでの講演のビデオが見れる。

http://videocast.nih.gov/PastEvents.asp?c=16&p=1

これは研究している人は、まあ知っているだろうし、そんなに見ている時間がないだろう。でも、これを見るたびに、自分が大学の学部生だったときに必要だったのはこういうサービスだったと痛感する。

毎回それぞれの分野の超一流のひとがすごく初歩的なことから深い内容まで講演している。日本で大学生だったときに、論文へのアクセスはあっても、こういう講演に出会う機会がほとんどなかった。なかなか、日本にアメリカやヨーロッパから講演に来てもらうのは遠いから大変だというのもあるだろう。

自分が勉強を始めたばかりのころは、こういう講演を聴いて、そのあとにそれをもとにあれこれ考えるという作業が楽しかったし、自分の学習の役に立っていた。今の学生は、自分が学生だったときよりもチャンスがたくさんあってうらやましい。これから留学しようとしている人にとっては、こういう講演を英語で聴いて理解できるようになるというのは必須のプロセスだし、その練習が日本で若いときに日常的にできるというのは、今では当たり前かもしれないけど、10年前はそんなに簡単ではなかった。

生まれたときからネットがある世界で育っている今の子供が大人になるころには、今までにはあり得なかったような別のタイプの天才が現れるかもなあ。

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Magstimのトレーニングコース

先週やっとドイツとギリシャからロンドンに帰ってきた。

久しぶりにホームのラボに帰ってきたら、めちゃめちゃ混んでいる。さらに、Magstimから大量にTMSの機械が送られてきてTMSが山積みになっている。

いったいどういうことかというと、来年の1月と2月に自分の所属するWalshラボで、TMSの機械をつくっている会社Magstim主催のトレーニングコースが行われる。その機材がみっしりおかれていて、部屋の数よりもTMSの機材の方が多い。

詳細はこちら:http://www.magstim.com/13764.html

内容を見てみると、tACS(transcranial alternating current stimulation)のデモまでやってしまうらしい。今までWalter Paulusのラボと自分とLisa Marshall以外に誰もやっていないから、まだまだマイナーテクニックかと思いきやこれまで入ってるのに驚いた。

tACSについても書きたいことはいろいろあるが、つい一ヶ月前ぐらいにCurrent Biologyにアクセプトされたので、それが公式に出版されたら、あまりオープンにしていない話もここでかけるだろう。

ちなみに、海外からコメントできないという現象はどうも改善してくれたようです。

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