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小説家イーグルマン

時間の知覚や共感覚の研究で有名なDavid Eaglemanというニューロサイエンティストがいる。Eaglemanの研究にはいつも「面白い問題意識」と「ダントツの表現力」があふれている。

そのEaglemanがなんと短編小説のようなもので作家デヴューした。ある意味、コンセプチュアルなストーリーを書くのは、心理物理学でセンスのいい実験をするのと似ているのかもしれない。もっと大きくいってしまえば、人間の本性と不思議さを探求している脳科学者は、文学や哲学的な興味を人間に対して抱いているものだろう。そういう意味で神経科学者が小説を書くことは不思議ではないが、実際に研究者としておもしろいことをやっているひとが、作家といてデヴューした例はあまりしらない。

それでEaglemanはいったい何を書いたのだろうと好奇心でこの本を読んでみた。

Sum: Forty Tales from the Afterlives Book Sum: Forty Tales from the Afterlives

著者:David Eagleman
販売元:Pantheon Books
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この本は死後にどうなるのかという仮説が書かれている。それは科学的に考察したとかそういうものではなくて、コンセプトとして面白い死後の状況を想定した話が40パターンでてくるというものだ。「死後の世界には自分が生きている間に出会った人しかいない」という状況なんかがでてくる。単に死後の世界のコンセプトがおもしろいというだけではなくて、なぜかコミカルな死後の世界を想定することで、人間の生について一瞬ほっとしたような気持ちにさせられる。まさか神経科学者の書いた小説がここまで面白いとは想像していなかった。シンプルな言葉で書いてあるから、英語が苦手でもわりと気楽に読めると思う。

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