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東北大学からUCLへの若手派遣事業

僕の所属しているUCLには高次脳機能の研究において、第一流の研究室が多分野にわたって数多くあります。非常に脳研究者の層が厚く集中しているので、脳に興味がある人にとっては、一度は体験してみたい場所ではないでしょうか。3年前、僕がUCLに来たときには、たくさん脳研究のラボがあることは理解していたものの、実際に来てみると、想像以上で圧倒されました。

先日、ASCONEという日本での若手研究者に向けての研究会で東北大学を訪れたときに、東北大学とUCLの間で、若手派遣事業が行われていることを教えてもらいました。今回は、その若手派遣事業について、興味のある人に、UCLで一年ぐらい研究するチャンスがあるということを知らせたくて、そのことをブログに書こうと思いました。

この制度は、東北大学とUCL間での研究交流を深めるために、現在東北大学の生命・医学・加齢医学研究所のいずれかに所属している学生・ポスドクのUCLへの留学を支援しています。期間は、最低1年程度です。例えば、大学院の博士課程を終える段階に来ている人が、ポスドクへの遷移期間として活用するのには、非常に有効だと思います。

UCLでどのような研究が行われているかは、このUCL Neuroscienceのサイトで包括的に見ることができます。ただ、UCLでの脳科学研究の規模は非常に大きいので、すべてのラボを見るのはなかなか難しいかもしれません。僕の良く知っている分野で、人間の脳機能をイメージングや非侵襲脳刺激を用いて研究しているは、Wellcome Trust for Neuroimaging (通称FIL)とInstitute of Cognitive Neuroscience、それからPsychology and Language SciencesSobell Instiuteなどがあります。それから、脳の計算理論の方では、Gatsby Computational Neuroscience Uniteもあります。それぞれが、常にものすごくプロダクティブで、世界をリードする研究をしています。

ロンドンの中心部の小さな地域のなかに、層が厚い脳研究者が集中しているので、常に他分野の脳科学者と交流があって、毎日が刺激的です。今回の、若手派遣事業は非常に良い機会なので、今回のような制度を活かして、UCLに留学する人が日本から出てくるのを楽しみにしています。

興味のある方は、1月に東北大学とUCLの合同シンポジウム、脳科学国際シンポジウム2011にてUCLの大沼先生と山本先生による説明があるので、それに参加されるのも良いと思います。もし、特定のラボの様子などについて聞きたいことがある人は、直接メールを頂ければ、多少のアドバイスはできると思うので、kanair[at]gmail.comまでメールをください。

また、このブログをみて、自分の知り合いなどが若手派遣事業の対象となり且つ、興味がありそうでしたら、是非伝えておいてください。

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ASCONE終了

最近まで東北大学で行われたASCONEという大学生・院生の若手を鍛える合宿で講師をしてきた。

http://spike.lab.tamagawa.ac.jp/ASCONE/

講師の人はそれぞれ、難しい課題を与えていたけれど、それなりの議論ができるレベルまで達している学生がたくさんいて楽しかった。最後には、下條さんがクオリアの話をして、それもかなり面白かった。藤井さんにも初めて会ったし、土谷は相変わらず強気でおもしろかった。4日間びっちりやったおかげで、参加した学生はけっこう意識研究の基礎はつかんでいたようだ。

きっと今回の参加者と将来どっかの学会で会うことはあるだろう。そして、その中には日本を代表する意識研究者がでてくるだろうという予感を感じた。自分の気持ちとしては、自分はまだまだ挑戦者なのだけど、これから研究を始める人に教える立場にもなりつつあるんだなという感覚が生まれた。

土谷が3月にユタで行われるCosyneという学会でオーガナイズしているワークショップがこのテーマについて学ぶのに最も良い機会だろう。Christof Koch, Giulio Tononi, Stan Dehaene, Alex Maier, Nao Tsuchiya, Anil SethがComputational approaches to consciousnessというテーマで議論する。これはすごそうだ。

神経回路学会ということだったので、もう少し意識の計算理論についての講義があっても良かったかもしれない。今回みたいに、まず意識研究の概念の整理をやったあとで、より計算論的な話にまで発展できればより良かっただろう。TononiにInformation Integration Theoryとかちゃんと理解して、研究している日本人というのは今のところいない。これは、非常にもったいない。数学が得意で、脳や意識に興味がある人は、情報理論からのアプローチで一旗あげて欲しい。

ASCONEについては、書きたいことはいろいろあるが、興味のある人はtogetterのASCONE2010関連、あるいはこのリンクを参考にしてください。

ASCONEで良いと思ったのは、議論する時間をたっぷりとっていることだ。たぶん、こんなに人と議論することで勉強するって機会は日本では特に珍しいだろう。ただ将来的に、こういうことが英語でできるようなトレーニングも必要だと感じた。

最初は準備も大変だし、日本に行くのだけでも遠いから大変だと思ったけど、やる気のある学生にいっぱいあえてやりがいがあって楽しかった。

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