自閉症の人も文字でならコミュニケーションできる

きょう知り合いの人からおもしろいリンクが送られてきた。言葉を話してコミュニケーションすることはできない自閉症の女の子が、パソコンでタイプすれば普通の人のようにコミュニケーションできるというYouTubeの映像。

その子の書いたものから推測すると、どうも自閉症の人の心の内面というのは、普通の人と変わらないみたいだ。むしろ制御しきれない脳の中に、無理矢理閉じ込められているような印象を受ける。

なんで人の顔を見れないのかとか、頭を自分で打ったりするのかとか、自閉症の人の不可解な行動に内面からの理由の説明があるところとかが興味深い。今まで、自閉症の人の心の中というのがどうなっているのか、まったく想像もつかなかったけれど、すごく普通の人と同じようだということがわかる。

「なんで自閉症の子供は、耳を手で覆ったり、手をぶらぶら振ったり、うなり声をだしたり、体をゆらしたりするのか?」("Why do autistic kids cover their ears, flap their hands, hum and rock?")という質問に対して、こう答えている。

「一度にたくさんの感覚が入ってくると大変だから、それを紛らわせるため。入ってくる感覚を遮断するために、自分から(音とかの)感覚を作り出している」("It's a way for us to drown out all sensory input that overloads us all at once. We create output to block out input.")ということらしい。

こういう話から、自閉症というのは脳の中の特定の配線の問題か何かではないかと想像させられる。

実際、自閉症でない人でも、直接話すのは苦手だけどチャットとかでなら元気に話せる学生とかにあったことがある。意外と普通の人の中でも自閉症気味の人とかいて、コミュニケーションのモード(直接会って話すか、電話で話すか、メールか、チャットかなど)によって、コミュニケーションの能力が違うということもありそうだ。おそらくネットがあるおかげで、今までコミュニケーションが困難であったひとにも活躍のチャンスが生まれたと思う。

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夢について

ロンドンに来てから毎日刺激がたくさんあって、なかなかブログを書く時間がありません。

最近はドイツのGoettingenという所のPaulus教授を数週間単位で訪ねて、tDCSという脳刺激の手法を教えてもらってUCLに輸入している。tDCSが最初に開発された場所というだけあって、かなり他ではやっていないような実験ができるから、かなり興奮。

UCLでは基本的にはアウェアネス、時間知覚、注意に関係ある実験をTMSとtDCSでやりつつ、EEGとfMRIもパラレルでやるように、一通り全部通してできるようにトレーニングを受けている状態で、技術は確実にアップしてきているけど、なかなかすごく面白い実験というのはでてこない。あとまだ未公開の刺激法の開発しています。それが一番面白いけど、論文がでるまではブログでは書けません。

年末あたりから、周りのひとに説得されて、今後、睡眠の実験をすることになった。睡眠と夢には興味がなかった訳ではないけど、なにしろほとんど何もしらないから、果たして実験できるのだろうか。

とりあえず、周りの人に相談してみたら、同じオフィスの人は元々睡眠の研究でPhDを取っていたことが判明して、基本的なことを少し教えてもらった。ボスに相談したら、とりあえず必要そうな道具を揃えてくれたので、今週にはベッドもくるし、スリープ・ラボっぽくなりそうだ。周りの人は、睡眠の学習にもたらす効果とかを知りたいらしいのだけど、なかなかそこのところが自分の興味と合わない。自分としては、寝てる人の脳(DLPFC)を電流で刺激して「自分は夢の中にいる」と自覚しているルシッド・ドリームを引き起こしたり、目が覚めている人の脳の一部だけを無理矢理睡眠中のEEGとそっくりな電流を流して眠らせたり、あるいは金縛りと幽体離脱を引き起こしたい。

自分の体験から、疲れていて眠ろうとすると、いきなり金縛りにかかって幻覚が見えるパターンがある。コーヒーを飲むようになったときとかは頻繁にそれが起きていた。これを経験したことがある人は、似たような体験をしているが、体験したことがないひとには、本当にそんなことがおこるのか怪しいと思う人もいるだろう。こういう現象は頻度的には稀だけれど、一生のうちにほとんどのひとが数回は経験する現象だ。だから、脳刺激で繰り返し確実に金縛りが起こせれば研究しようがあるなとおもって、試してみようというところ。

自分にとって新しい分野というのは、学ぶことが多くて楽しい。学んでるだけだと、生産者になれないけど。最近、実験の合間にこの本の原著を読んだ。

夢の科学 (ブルーバックス)Book夢の科学 (ブルーバックス)

著者:アラン・ホブソン
販売元:講談社
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今までほとんど夢とか睡眠について読んだことがなかったから、かなり初歩的なことで驚かされた。

1: 夢をみるのはREM睡眠中だけではない。
2: REM睡眠中に夢はずっと見ているが、すぐに忘れてしまうだけだ。寝ている人を起こして何の夢を見ていたか聞けば、95%のひとが答えることができる。
3: REM睡眠中にDLPFCとposterior cingulateの活動が選択的に下がる。
4: Parietalの患者は夢を見ない。
5: REM睡眠はホ乳類だけにある。だから体温調整と関係がありそうだ。REM睡眠中は体温調整ができない。
6: 寝ないと死ぬ。眠いという欲求はすごく強い。欲求が強いということは、進化の過程で生物としてすごく重要なものに違いない。

かなり初歩的な本なのに、こんなに知らなかったことがでてきた。学問としてどこまで正確な情報かは論文を読まないことには判断がつかないけれど、これだけでもかなり面白そうな分野だと確信できた。寝ている人を起こして95%の人が夢の内容を答えることができるということで、脳刺激が夢に影響を与えることができるのかどうか、実験できる希望が見えた。

大量に睡眠関係の本を注文したから、しばらくはそれを読みながら関連論文を読んでいって、せめて知識が一人前になったら睡眠のラボ見学にいってこようと思う。

睡眠中のTMS脳刺激はTononiのラボのMassiminiという人がやっている。(Massimini et al., 2005, Science, Massimini, 2007, PNAS)。

メソッド的に、TMSの音をアクティブにキャンセルしたり、細かい工夫がたくさんある。それでも、睡眠中の脳を刺激するのは、まだまだ未知の世界だから面白いことがたくさん出てきそうだ。

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