京都の意識学会:ASSC15

来年2011年の6月に、京都でASSC (The Association for the Scientific Study of Consciousness) という意識を科学的に研究する国際学会が開かれる。

ASSCが日本で開かれるのは今回が初めてだが、意識研究に興味がある人には、世界で最も面白い学会だろう。これから意識の研究をしてみたいと考えている人にも、ニューロサイエンスにこれまで携わってきていても、意識研究に接点がなかった人にとっても、きっとインスピレーションが得られる興味深い学会になるだろう。なかなか脳の研究をしている人でも、意識をメインに研究しているひとは少ないだろうから、意識の学会に参加する機会は珍しいかもしれない。


今回の自分が提案した、シンポジウムとチュートリアルの企画が、無事ふたつともASSCで採択してもらえた。今回は、その内容について少し説明したい。

まず、シンポジウムでは<タ認知と意識 (Metacognition and Consciousness)>というテーマで、3人の講演者を招待してメタ認知と意識の関係について議論する。


SYMPOSIUM 1: Metacogntion and consciousness

Chair: Ryota Kanai, University College London

Introduction: Ryota Kanai (University College London)

Talk 1. Stephen Fleming (University College London)
“Decisions about decisions: neural construction of metacognitive confidence”

Talk 2. Robert Hampton (Emory University, USA)
“Metacognition and memory systems in primates: Successes and limitations”

Talk 3. Peter Carruthers (University of Maryland)
“Metacognitive processes in nonhuman animals?”


 

興味のある人たちのために、招待した講演者たちがどんな研究をしてきたのか、彼らの代表的な論文を、ここでは紹介しておきたい。

一人目のSteve Flemingは、最近の論文で、ヒトのメタ認知能力に驚くほど個人差があること示した上で、そのメタ認知の個人差が前頭葉(BA10)の灰白質の量と対応しているということを示した。

Fleming et al. (2010). Relating introspective accuracy to individual differences in brain structure. Science, 329, 154-1543. 

二人目のRobert Hamptonは、メタ認知というと非常に高次な機能で人間特有のものと考えられがちであるが、動物(サル)にもメタ認知ができているということを、非常に優れた実験デザインで最初に実証したひと。動物にメタ認知があるかどうかという問題を、操作的(オペレーショナル)に、単純な条件付けではなくできているということを示すのは、なかなか難しい問題を含んでいる。その問題を、大きく克服したデザインでメタメモリー(記憶に関するメタ認知)をサルで示した意義は大きい。特に、動物に意識があるのかという問題を考える上で興味深い。

Hampton, R. (2001). Rhesus monkeys know when they remember. PNAS 98, 5359-5362. 

三人目のPeter Carruthersは哲学者だが、認知神経科学的な観点から、メタ認知と「心の理論(theory of mind、他者の内面を推測する能力)」の進化について非常に洞察力に富んだ総論を書いている。とくに、Carruthersの議論をPrecuneusの機能と進化という観点と照らし合わせて読んでいくと、社会性と意識の意外にも密接な関係が見えてくる。それで、この哲学者のアイデアには注目している。

Carruthers, P. (2009). How we know our own minds: the relationship between mindreading and metacognition. Behavioral and Brain sciences 32, 121-138.


それからCarruthersはASSCでチュートリアルも開いている。シンポジウムよりもたっぷり時間をとって、メタ認知と「心の理論」の話をするようなので、より詳しく知りたい人にはお薦め。

TUTORIAL 4: “Self-Knowledge: Philosophy meets Cognitive Science.” 

  • Peter Carruthers (University of Maryland)

Philosophers almost universally maintain that knowledge of our own occurrent mental states (including not only our own perceptions, images, and emotional feelings, but also our own current judgments, desires, and decisions) is somehow privileged and authoritative. In contrast, a wide range of evidence from across cognitive science suggests that while our own experiences are globally broadcast (thereby becoming conscious) and hence made available to the mindreading system (thus being easily self-attributable), we can only know of our own propositional attitude states via interpretation of sensorily-accessible data. Hence our knowledge of our own propositional attitudes is little different in epistemic status from our beliefs about of the attitudes of other people.
The first section of the tutorial will explain the contrasting approaches, and will develop the interpretive account, explaining how it is consistent with global broadcasting architectures and with current models of working memory. The second section will seek to explain the intuition of immediate access that underlies philosophical accounts, arguing that this results from a simplifying heuristic built into the structure of the mindreading faculty. The third section will examine evidence on meta-memory and meta-reasoning that bears on the debate, and will discuss evidence from schizophrenia, autism, and brain imaging that is alleged to show a dissociation between the mechanisms of self-knowledge and other-knowledge. Finally, the fourth section will look at evidence that people often make confabulatory claims about their own current attitudes, discussing how this seems to strongly support the self-interpretive account.


それから、もう一つ企画した、土谷とのチュートリアルではクオリアを神経科学として研究するためにどう定義すべきかという、今まさに論文を書きつつある新しいアイデアについて説明する。

TUTORIAL 6: “Towards the neuroscientific definition and empirical investigation of Qualia.”

  • Naotsugu Tsuchiya (RIKEN, BSI)
  • Ryota Kanai (UCL, UK)

Finding the neuronal correlates of consciousness (the NCC) has become a central issue in cognitive neuroscience.   However, the definition of the key word, "qualia", remains elusive, and even researchers within the same field use “qualia” in many different ways, to the extent that we cannot answer simple questions such as  "whether percepts of faces are qualia?" or “emotion of fear a quale?”  Here, we offer a possible definition of “qualia” by considering what are irreducible units of perception from a neuroscientific point of view.    We propose that whether a percept should be considered as a single quale or compound of qualia hinges on whether the percept requires top-down attention for binding or not. Our hypothesis predicts that “qualia” emerge from neuronal circuits that bind elements of percept via genetically instructed wiring or via rewiring through extensive learning. Chunked qualia can be bound flexibly via top-down attention, yet this is just a combination of qualia, which needs to be distinguished from genuine qualia.  We believe the effort to make a clearer consensus of what qualia are could lead to a surge of neuroscientific investigation of consciousness, based on an analogy with researches on ‘elementary features’ following the proposal of Feature Integration Theory by Anne Treisman.   We propose that our new hypothesis will facilitate empirical research into qualia by illuminating more focused issues directly relevant to the Hard Problem.


「赤の赤らしさ」などという説明で、クオリアという言葉自体が分かった気になって、そしてハードプロブレムに気づいて、行き詰まってしまうという状況が良くある。しかし、クオリアについて「顔はクオリアか?」とか、「右半分が緑で、左半分が赤の円という複雑な組み合わせのクオリアはあるか?」などを判断する基準は今のところ存在しない。このチュートリアルでは、クオリアをirreducibility(これ以上細分化できないということ)などの特徴から、神経科学として研究を進める上で意味のある定義の仕方を提案する。「神経科学として」というのは、単にセマンティック(言葉の定義だけの)問題を扱うのではなくて、クオリアとが脳のどのような状態(情報処理)に対応するのかを研究できるようにしたいからだ。クオリアの特徴と実験手法を対応付けることで、クオリアを科学として扱うことはできる。このチュートリアルで話す内容は、かなり賛否両論の意見が返ってくるのではないかと期待している。

この前のASCONEで下條さんも強く主張していたことだけれど、クオリアというのは難問すぎるとして諦められがちだが、突き崩すとっかかりみたいなものは、クレバーなアイデアさえあれば、新しいことがまだまだ見つけられる。

きっと、provocativeな(人を怒らせて、物儀をかもすような)内容になるので、どしどし参加してください。


最後に、ASSもう一つ進行中のメタ認知の企画あるのだけれど、まだ詳細が決定していないので、決まり次第報告します。

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個人差の脳科学に関するシンポジウム

今年の9月にNeuro2010というものすごく大きそうな神経科学の学会(リンク)が神戸で開催される。そこでの公募にシンポジウムの提案を応募したのだが、それが採択されたという通知がきて今すごくうれしい。

うれしいのは、自分がいま一番おもしろいと思っていることをたくさんの人の紹介できるからだ。それから、招待したシンポジストが自分と同世代ですごく影響力のある研究をしている自慢の研究者達だからだ。

テーマは「個人差の認知神経科学」で、おなじUCLにいるMaro G Machizawaとオーガナイズしている。なかなか日本では「Maroって何者なのか?日本人なのか?本名なのか?」といろいろ気になる人もいるだろう。一時期Maroは理研で働いていたから、Maroの存在をしっている人も意外といるのかもしれないけど、日本の学会で見る機会はあまりないだろう。マスターの学生のときにワーキングメモリの個人差についてVogelと共にNatureに二本論文を出したという強者。(Vogel & Machizawa 2004 in Nature Vogel, McCollough, Machizawa, 2005 in Nature )。Maroは今もかなりハイクオリティな研究をしている。

それから二人目のシンポジストはスウェーデンのカロリンスカ研究所のFiona McNab。この人はワーキングメモリのフィルタリング能力の個人差のfMRI(McNab & Klingberg, 2008 in Nat Neurosci)やワーキングメモリのトレーニングを5週間続けるとドーパミンD1受容体の量が前頭葉と頭頂葉で増えることを示したPETの研究(McNab et al. 2009 in Science)などが有名。実は脳研究で、トレーニングによって脳が構造的な変化することを実証した研究の数は少ない。そして、トレーニングは個人差を理解する上で必ず重要になってくるテーマだ。というのは、脳の活動や構造を見て、個人の能力を予測しようとしたとき、遺伝的な生まれながらの要素と、訓練によって変化する要素の両方が関係してくるからだ。

そして三人目はバークレーのSonia Bishopだ。不安になりやすい性格(Trait Anxiety, 専門用語では「特性不安」という)の人は、前頭前野のDLPFC(dorsolateral prefrontal cortex)の活動が低く、注意のコントロールがあまりできていないということを発見している(Bishop, 2009, in Nat Neurosci). これまで質問紙で自己申告的に答えてもらう心理学の実験のようなものはたくさんあるが、こういう古典的な心理学の手法は、客観性などの面で、科学として弱いと考えられていた。その反面、この人の論文のように、脳活動の違いなどの計測可能な脳内の物理的現象と対応がつくにつれて、質問紙の心理学がより洗練されて意義を取り戻すだろう。Sonia BishopはSTAIと呼ばれる特性不安の質問紙を使った。(日本語版はここ)。こういう研究が面白いのは、質問に正直に答えてもらうだけど、その人の脳の特徴がある程度予測できるということだ。それからSoniaは遺伝子の違いについても研究している。

いま自分自身の研究でも「孤独感」の強い人と弱い人で脳がどう違うのかなどを調べている。実は孤独は遺伝することが知られているから、脳の構造に違いがあっても不思議ではない。「孤独感」に限らず、いまこの手の個人の特徴と脳の構造の関係についてUCLで幅広く調べている(empathyとかsynaesthesiaとか、とにかくいろいろ)。今年のVSSでの出し物も、自分の発表(バインディングプロブレムについての研究)以外の3件は、何らかの能力の個人差に関するVBM(voxel-based morphometryという脳の構造と個人能力を対応づける解析方法)を用いた研究だ。VSSでは「時間知覚」と「ワーキングメモリ」と「注意」の個人差についての3つの研究プロジェクトで共著者として発表がある。神戸のNeuro2010シンポジウムでは、自分の発表のときは、かなり変わったものも含めて、個人差に基づいた脳研究の意義について話そうと思う。

個人差研究の意義はざっと挙げると3つある。
1. 個人差研究は、個別の違いを理解するためのものではなくて、脳の一般的な機能の理解を促す。
2. 個人差研究は、脳科学者でないひとの興味に答えることができる。
3. 個人差研究は脳科学産業になりうる。

このことについてシンポジウムのイントロとして話そうと思う。Neuro2010に来る方は是非楽しみにしていてください。

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今年の日本での意識研究イベント

今年の秋9月に日本で意識研究に関連したイベントが二つあります。

一つは日本神経科学大会でのシンポジウムで、もう一つはその直後に岡崎での意識のワークショップです。

日本神経科学大会では、意識がテーマのシンポジウム「意識の脳科学の最前線」

テーマ
意識の脳科学の最前線
座 長
伊佐 正(生理研)、Christof Koch (カリフォルニア工科大)
演 者
Christof Koch(カリフォルニア工科大)
Ned Block(ニューヨーク大)
Petra Stoerig(ハインリッヒハイン大)
吉田 正俊(生理研)

それとあえて「意識」というテーマでかぶらないようにしたものの、実際の内容はかなり意識を意識した、このシンポジウム

テーマ
★ 錯覚・視覚イリュージョンの脳内メカニズム − 心理物理、脳刺激、電気生理、薬理学的アプローチ
座 長
土谷 尚嗣(カリフォルニア工科大)、金井 良太(ロンドン大)
演 者
土谷 尚嗣(カリフォルニア工科大)
金井 良太(ロンドン大)
Olivia Carter(メルボルン大)
Melanie Wilke(カリフォルニア工科大)

を土谷とオーガナイズしています(といってもほぼ土谷がすべてアレンジした)。

それからATRの神谷さんがオーガナイズしている

テーマ
現実世界に挑むニューロイメージング
座 長
神谷 之康(ATR)
演 者
神谷 之康(ATR)
John-Dylan Haynes(ベルリン医大)
定藤 規弘(生理研)
Uri Hasson(プリンストン大)

も面白そうです。

どれもも海外から研究者がこぞって参加しているので、意識研究をしている研究者の人たちにも、これから研究をしたいと考えている学生の人たちにもかなりおすすめです。

それから岡崎での意識のワークショップでは、この人たちが話します。

実は、このシンポジウムをやるということで思い出したことがある。自分が学部生の4回生だったとき、岡崎で割と生理学者が多い視覚のシンポジウムを土谷と見にいったことだ。あの頃は、視覚のことなどほとんど何もしらずに意識の研究をしたいと思い始めていたぐらいの頃だった。2000年のはじめぐらいだったと思う。今思えばかなりの豪華メンバーのシンポジウムで、行く前の2、3週間前ぐらいから土谷と二人でスピーカーの人たちの論文を読んで二人だけのジャーナルクラブをやっていた。がんばってLammeとかZekiとかに話しかけたのを覚えている。今となってはかなり懐かしい思い出だ。

もしかしたら、今回の意識シンポジウムは、これから意識研究をしようという人にとっての思い出深い入り口になり得るんじゃないかと思う。

詳しい日程等の情報は以下の通りです。pooneilさんのブログでも説明がでています。

発表者の顔ぶれからはミニASSCという雰囲気になりそうです。Ned Block, Petra Stoerig,そして吉田さんという組み合わせからはいかにもblindsightとp-consciousness,a-consciousnessの話が盛り上がりそうなのが楽しみです。

1. INTERNATIONAL WORKSHOP "SCIENTIFIC STUDIES OF CONSCIOUSNESS"
Further information: http://www.nips.ac.jp/%7Emyoshi/workshop2009/
Date: September 19th-20th, 2009 (at Okazaki Conference Center, Aichi,
Japan http://www.orion.ac.jp/occ-e/)
Deadline: July 15th, 2009

The regstration fee is free. The banquet fee and lunch fee are optional and required to pay onsite by cash.

Organizers: Masatoshi Yoshida, Nao Tsuchiya (naotsu@gmail.com)
Registration open till July 15.

(all the presentations will given be in English)
Tentative themes:
1) Time and consciousness
2) Electrophysiological approach towards consciousness
3) Reliability of subjective reports on phenomenology
4) Consciousness vs. Attention
5) The role of thalamus in consciousness
6) Decoding the contents of consciousness

Confirmed speakers:

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2. THE 32nd ANNUAL MEETING OF THE JAPAN NEUROSCIENCE SOCIETY
(Neuroscience 2009) INTERNATIONAL NEUROSCIENCE CONFERENCE
Further information:
http://www.congre.co.jp/neurosci2009/english/index.html (expected
attendee : >3500 people)
Date:September 16th-18th, 2009 (at Nagoya Congress Center, Aichi, Japan)

DEADLINE for Abstract Submission APR 15

(All the talks and posters will be given in English)
Plenary Lectures
- Christof Koch, Professor (Caltech)
- Barry W. Connors, Professor (Brown Univ.)
Special Lectures
- Tetsuro Matsuzawa, Professor (Primate Research Institute, Kyoto
University, Japan)

There will be two associated symposia, closely related to the topic of
the neuronal basis of consciousness:
1. Frontier of neuroscientific research on consciousness
2. Neuronal mechanisms of visual illusions : empirical approaches from
psychophysics, brain stimulation, electrophysiology, and pharmacology
3. Neuroimaging and real world complexity
http://www.congre.co.jp/neurosci2009/english/index.html


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クリック賞

そういえば先週、UCLのGeraint ReesというfMRIで意識の研究をしている人がFrancis Crick Prizeというのを受賞した。そのときにRoyal SocietyでLectureしているのを見に行った。

映像も見れる
http://royalsociety.tv/dpx_live/dpx.php?dpxuser=dpx_v12

クリック賞というのがあることも知らなかったけど。意識の研究は、ノーベル賞はむりでも、クリック賞なら目指せるのかもとか思ってしまった。イギリス人以外でもとれるのか?

Geraint Reesはいつもながら講演がうまいというかおもしろいなぁ。

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更新:日本帰国マニフェスト

しばらく更新できずにいて、楽しみにしていてくれたひとには申し訳ない。

実は、ハーバードのVisionLabで、自分にとって当分できなそうな本気のPsychophysicsに挑戦していました。今、ハーバードのラボはPatrick Cavanaghがパリに行ってしまうということで、その直前にVisionLabの雰囲気を味わいたいというのと、自分がどこまでPsychophysicsができるかという挑戦をしようと必死でした。まだ、その結果をペーパーにできるかというのは難しいけれど、やれるだけのことはやったなと思っている。

九月からUCLでVincent WalshとHuman FrontierのFellowshipで、もうすこし修行をしようと考えていて、その前に自己ベストのPsychopysicsをしようと実験をしていた。

移動するとなると、けっこう準備が大変で時間がとられて、なかなか更新できずにいた。

今は、ビザを取るなどの理由で日本に一時帰国している。それから、ブログを書いたことのあるひとには、共通の悩みだろうけど、実際に研究していると内部情報とか科学者の中での、政治的な配慮などの情報が入ってくる。それが一番暴露すると読者にとっては面白いだろうと思いながら、なかなかそういうことは無差別には書けない。だから、どうしても実際にPublishされたことか、学会発表のあったこと以外は書けずにいた。

それから、研究する上での性格と精神性については面白いけれど、もっと実際に研究をしようと考えてる人に役に立つことを書きたい。

日本で意識の話をすると、たいてい茂木さんの話になる。皆、複雑な気分でいるというのが伝わってくる。自分としては、茂木さんは日本での意識研究の入り口になっていると思う。そういう意味での貢献は大きい。世界的に見て、クオリアということばをしっている国民はそんなにない。

実は、このブログを始めた動機は、意識に興味をもった日本の人に、どういう研究方法があるのかを提示して、培われた興味を実際の研究につなげたいという野心というか、責任感があった。だから、海外のラボに留学したいと考えている人などの自分の知っている範囲で、アドバイスができたらという希望が自分のモチベーションだと思う。

今回は、今まで書こうと思っていた"I am a strange loop"という本について書こうと思う。

I Am a Strange Loop I Am a Strange Loop

著者:Douglas Hofstadter
販売元:Basic Books
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この本からうけるインスピレーションは強烈なものがある。ゲーデルの話と、情報の表象という観点は意識研究の上で、だいじな要素があるのはまちがえない。

意外と、他の国に比べて,日本はゲーデルの話が一般に受け入れられている感がある。それから、情報のフィードバックというのが、意識と関係がありそうだというのは多くのひとが感じていることだと思う。残念なのは、I am a strange loopは、本の半分以上は期待をもたせておいて、最終的な答えを出していない。このことは、彼の過去の仕事についていつもさけられない批判だと思う。所詮、エッセイにすぎないという評価は世界共通なようだ。

日本語に訳されているのかどうかは、知らないけれど、一般の興味をそそるところがある。でも、最終的には自己意識というのは海馬のepisodic memoryだという結論で、神経科学者には安易に思えてしまうようだ。

内心、茂木さんにはDouglas Hostadterのように世界的知識人になってほしいと願っているけれど、それは彼にとっても課題なんだと思う。

日本のサルの電気生理はまちがえなく、世界トップレベルだと思う。そのレベルに、他の分野が追いつくと、間違えなく日本の意識研究の評価はぐっとあがるというのは想像がつく。

9月から、UCLで研究をすることになるけれど、もし半年とか数年の単位で留学を考えている人には、すむところぐらいはサポートしたいから、もしそういう意図があったら、直接コンタクトをとってほしい。調べればわかることだけど、メールアドレスは、kanair@gmail.comだから、なんでも気になることがあったら、気楽にメールを下さい。

前にも書いたことがあるけれど、ASSCという意識の学会が、日本で2011年あたりに回ってくる。そのときに、日本の意識研究は立派なものだという印象を残したい。ハーバードにいたときの、ルームメイトはPatrick WilkenというASSCの創始者で、今はNeuronとTICSのEditorをやっている人で、彼はアジア地域をASSCに巻き込むことに積極的だったら、その機会を生かしたい。

9月にロンドンに住み始めて、自分の環境がととのったら、また本格的にこのブログを書こうと思う。だから、あと2、3週間はあまりたいした更新ができないかもしれない。

ロンドンにいくことで、気づいたことは、イギリスはヨーロッパとは異なる文化がある。もしかしたら、日本と大陸ヨーロッパの中間ぐらいの文化かもしれない。今でも、痛感することは、長年オランダで住み続けたことで、意外と知られていないヨーロッパの文化が理解できるようになった。もし、ドイツ、オランダ、北欧に留学したいという人には、的確なアドバイスができると思う。少しでも、気になった人には個人的に話がしたいと思う。

今回は、このブログの目的のマニフェストみたいになってしまったけど、徐々に自分のしっていることを書こうと思う。ただ、他人に迷惑をかけないという範囲にならざるを得ない。これから書くブログで、気になったことがあれば、どんどん率直な疑問には答えていこうと思う。これからは、しばらく論文紹介がメインになると思う。ある意味、論文なんて自分で読んで自分との関係を築いていくものではある。そこで、自分の意見を交えて、書いていこうと思う。「それは違うんじゃないの」という意見にもオープンでいくので、コメントはウェルカムです。いちおう変な広告と言うかブログ独特のスパムがくるので、コメントは一応承認制にしています。もし正統な書き込みがあれば、すぐにオープンにするつもりなので、どんどん好きなことを書いてください。

今は、久しぶりに日本にきて、文化の違いを感じている。日本人の気をつかう文化というのは、自分にとってカルチャーショックだけれど、飲んだときとか本音トークになるところが面白い。

また、本格的に書き始めるのと、さらにもうすこし突っ込んだことも書こうと思う。日本語のメディアで英語圏の情報をながしてしまうのは卑怯かもしれない。その辺の調節が難しいところになりそうだ。

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VSS 終了

やっとVSSが終わった。毎晩いろんなひととあっていて、かなりくたくたになった。そのかわり、面白い情報がたくさんもらえた。

下條ラボでは、VSSの後で学会に参加した人が、面白かったと思う発表を2つか3つ紹介するというセッションがある。これはいい仕組みだと思う。参加しているときに、面白いものを探そうというモチベーションが高まる。それと、人に話すことで、その研究の意義などについて考えるようになる。

今回は、昔同じオフィスだった、Mark Nieuwensteinのattentional blink(略してAB)の話が面白かった。彼は、去年はRSVPのなかで二つのターゲットだけでなく、すべてをリポートすればattentional blinkが起きないということを発表してみんなを驚かせた(PsychScienceの論文 )。これは、難しいタスクでABが起きないという極端な例だが、今年の発表ではものすごく簡単そうなタスクでABが起きるということを示していた。

まずRSVPからdistractorをなくして、最後のT2(二つ目のターゲット)のあとのマスクだけにした。T1(一つ目のターゲット)とT2の間には何もない。それでも、ABが起きる。それがまず驚きなのだが、さらにリングをT1としてつかって、コントラストを下げて50%の確率でしか見えないようにした。そのとき、リングが見えたときだけにABが起きるという実験結果だった。

ABには、いろいろな説明モデルがあるが、この実験からは、注意がどうだとか、マスクがどうだとか、ゲートを閉じることがどうこうということだけではなくて、何かが意識に上ることがABを引き起こす決定的な要因だと考えられるところがおもしろい。

それとは別に、continuous flash suppressionがものすごくはやっている。昔だったら、binocular rivalryで見えてる時間と比べてたような実験がすべてcontinuous flash suppressionになっている。

それと、さらに別に、UCLのBahadorの発表では(実際には聞きにいけなかったけど)spatial attentionを見せない刺激に向けることで、contrast adaptationがfacilitateされてthreshold elevationがより大きくなるということを示した。自分の実験 と結論は違うようだが、tilt aftereffectの場合は見えないことでattention のorientation specificityがなくなっているという解釈とつじつまがある。これも、次に示すべきことだと思っているうちにやられてしまった。Bahadorもこの実験は時間がかかるといっていた。あと、もうひとり学会中に発表はしていなかったが、まったく同じ実験をしたといってきた。たぶん、彼はスピードで負けてしまうだろう。

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VSS 途中経過

いま、フロリダのVSSという学会に来ている。
毎年来ているが、今年はどうもレベルが高いようだ。もしかしたら、自分が他人の研究をみる能力が向上したのかもしれない。あと、自分の実験が手法的にmultimodalになってきて、気になることが増えたというのもあるかもしれない。

学会の最初から来ていたわけではないからすべてを見てはいないが、面白かったもののアブストラクトをメモっておく。

11:45 207 Retinotopy versus category specificity throughout
primate cerebral cortex
Reza Rajimehr1 (reza@nmr.mgh.harvard.edu), Wim Vanduffel1, Roger Tootell1;
1NMR Athinoula A. Martinos Center, Massachusetts General Hospital (MGH),
Charlestown, MA
In initial stages of the visual hierarchy, stimuli are represented in point-topoint
(retinotopic) maps. However at higher stages in the ventral stream, it has been proposed that the retinotopic map is converted into a categoryselective cortical architecture (e.g. face representations in IT cortex of humans and macaques). To independently map and compare these two dimensions, we acquired fMRI from two awake monkeys and six human subjects, while presenting stimuli consisting of face- or place-based images, confined to retinotopically-specific apertures, during continuous central fixation. This common data was analyzed in two different ways: 1) based on category (faces vs. places), and 2) based on retinotopic location (e.g. foveal vs. peripheral stimuli). In macaques, the category comparison revealed face-selective regions in the posterior IT/STS, anterior IT, lateral parietal and inferior frontal cortex, consistent with previous studies. In human subjects, analogous face-selective regions were revealed in two major areas described previously: the fusiform gyrus (including FFA), and lateral occipital cortex (~V4d) - plus a smaller region in anterior temporal lobe, perhaps homologous to the anterior temporal face patch in macaques. The retinotopy analysis demonstrated a surprising degree of retinotopic organization in IT cortex. In both human and macaque subjects, each face-selective region typically contained subdivisions selective for either foveal or peripheral stimuli, or both. Retinotopic maps (polar and eccentricity) were also revealed in more than 20 additional areas in macaques, including frontal and parietal cortex, association cortex, and ventral occipital regions not described previously. The overall findings suggest a conjoined representation of object and space selectivity in the ventral pathway - not a ‘pure’ representation of object category.

そこまですごいわけではないかもしれないけど、ファンダメンタルで大事な実験をしているという印象だ。

4:45 224 Spatial Limits of Face Processing: Evidence from Face Aftereffects.
Seyed-Reza Afraz1 (afraz@fas.harvard.edu), Patrick Cavanagh1; 1Department of Psychology, Harvard University
We examined the spatial limits of face processing by measuring the spatial spread of the face aftereffect (FAE) following adaptation to a single face and following simultaneous adaptation to a face and its anti-face at different spatial separations. In the adaptation phase, one of the following sets of stimuli was presented with each stimulus placed at locations around a 3 deg circle centered at fixation: 1) a single face; 2) a face and its anti-face on opposite sides of fixation; 3) two faces and two anti-faces evenly spaced; and 4) one to four ellipses evenly spaced with the average size and color of face stimuli (non-adapted condition). In the test phase, a face stimulus with various morphing levels between the face and the anti-face was presented at a random location around the display circle and subjects had to report whether the test stimulus was seen as face or anti-face. The adaptation effect was determined from the PSE in the psychometric function for all angles between adapt location and test location to provide a spatial map of the spread of the FAE. Results show non-retinotopic adaptation – an FAE of similar strength at all locations -- following adaptation to a single face stimulus. Nevertheless, simultaneous adaptation to both the face and the anti-face, spaced at opposite locations across the fixation, did not cancel, producing instead two separate regions of opposite aftereffects. With the smaller separation of the 4 equally spaced stimuli, faces alternating with anti-faces, FAE was greatly reduced.


4:00 228 Grouping determines object-based selection in human inferior intra-parietal sulcus
Yaoda Xu1 (yaoda.xu@yale.edu), Marvin Chun1; 1Yale University
Visual objects are important units in visual processing, and yet how the brain determines what constitutes as a discrete visual object remains largely unknown. Previously, in a visual short-term memory (VSTM) study, we showed that, regardless of object complexity, fMRI response in the inferior intra-parietal sulcus (IPS) increased as the number of objects at different spatial locations increased (up to about four objects) (Xu & Chun, 2006, Nature). This finding indicates that the inferior IPS may participate in visual object individuation and selection, and its activation may reflect the number of discrete visual objects represented in the brain. In the current VSTM study, we asked: If object locations are fixed, but the grouping between objects differs, would that change the number of discrete objects represented in the brain? Our display consisted of two filled black rectangles on either side of the central fixation, similar to Egly, Driver and Rafal (1994, JEP:G). Observers encoded in VSTM two gray shapes appeared on the black rectangles and decided whether a probe shape at test matched one of the remembered shapes. Although grouping by closure (rectangles) was irrelevant to the VSTM task and could be ignored, the inferior IPS activation was lower when the two shapes appeared on the two ends of the same rectangle than on the same end of both rectangles. With an increased VSTM load, this grouping by closure allowed more shape information to be retained in VSTM as reflected in behavioral VSTM performance and fMRI responses in the superior IPS, which correlate with VSTM capacity. Interestingly, grouping did not modulate responses in the lateral occipital complex, an area involved in shape processing. Thus, grouping changes the number of discrete objects represented, and the inferior IPS may play a key role in determining object-based visual processing in the brain.

IPSとかparietalとfrontalの何にでも関係しているように見える部位の機能をパーツに分けて理解していくのはますます重要になるだろう。


2:45 439 Dynamic modulation of direction selectivity by task demands in prefrontal cortex
Cory Hussar1 (Cory_Hussar@urmc.rochester.edu), Tatiana Pasternak1; 1Dept. of
Neurobiology & Anatomy and Center for Visual Science
Responses of neurons in the prefrontal cortex (PFC) have been shown to represent behaviorally relevant sensory information. Recent work revealed that PFC neurons exhibit direction selective (DS) responses to visual motion used in a delayed match-to-sample (DMTS) task in which the monkeys compared two directions of motion separated by a brief delay (Zaksas & Pasternak, J. Neurosci, 2006). We asked whether this directionality is preserved when the monkeys were asked to ignore stimulus direction. We compared responses of PFC neurons to identical visual motion stimuli presented during three different tasks. In separate blocks of trials the animals discriminated the direction or the speed of motion, or were rewarded for passively maintaining fixation. We found that DS responses were drastically attenuated under both conditions in which stimulus direction was irrelevant and that the nature of this attenuation was task dependent. When the monkey discriminated stimulus speed and ignored its direction, DS activity was strongly attenuated early in the response and emerged about 100ms later than during the direction discrimination task. This early reduction of DS activity resulted not from a decrease in the response to the preferred direction, but from an increase in the response to the anti-preferred direction, suggesting an active release from inhibition characteristic of direction selectivity in visual cortical neurons. In contrast, during the passive fixation task, reduction in DS activity resulted largely from the decrease in the response to the preferred direction, which unlike the more transient loss in DS during the speed task, persisted throughout the response. Our results demonstrate the existence of a dynamic gating mechanism by which PFC neurons can modulate direction selectivity characteristic of visual cortical neurons.

途中からはいって聞いてて、これがprefrontalで記録してるって気づいて驚いた。


2:30 444 Non-retinotopic crowding
Patrick Cavanagh1,2 (patrick@wjh.harvard.edu), Alex O. Holcombe3; 1Harvard University, 2Université de Paris 5, 3University of Sydney

Sixteen radial arms are presented, each with a test letter at the third location from the center, flanked by 2 distractors on each side. The display counterphases targets and distractors in the following way: in one frame, every even arm (2nd, 4th, ..) shows only the target without distractors, while the odd arms (1st, 3rd, ..) show only the distractors without the targets; in the other frame, odd arms show distractors while even arms show the targets. When attending to any one location, a flickering test is seen, surrounded by flickering distractors. However, when a guide (a faint radial sector) moves from arm to arm in phase with the alternation, it contains only the test letter and no flankers. Targets are presented either in normal or mirror reversed orientation. Subjects fixate the center of the array and report the orientation of the test. When attention is directed to one fixed location, there is substantial interference from the flanking letters. However, when following the guide, crowding is much reduced, suggesting that crowding is specific to the flankers, if any, that move with the target and not to the letters that surround each target locally in retinotopic coordinates.

またもや、attentionをぐるぐるまわすパラダイムで、新しいことをひとこといっている。あの手法は予想以上にfruitfulだ。patrickにとってはcrowdingはattentionとbindingの問題だと考えている。こういう実験で示していくのはpromisingだ。

4:00 455 Entasis: architectural illusion compensation, aesthetic preference or engineering necessity?
Peter Thompson1 (p.thompson@psych.york.ac.uk), Georgia Papadopoulou1, Eleni Vassilou1; 1Department of Psychology, University of York, York, UK.

A typical characteristic of columns in Doric temples is entasis; a slight convexity in the body of the column. Often, particularly in guide-books, it is suggested that entasis compensates for an illusion of concavity in columns with parallel sides. Architectural experts generally agree: Entasis is the“swelling given to a column in the middle parts of the shaft for the purpose of correcting a disagreeable optical illusion, which is found to cause their outlines to seem concave instead of straight” - Penrose (1888). Nuttgens (1999) writes ‘Most Greek buildings of this golden period use entasis, the device whereby columns are given a slight swelling ....to counteract a tendency of the eye to see them as curving inwards from either side...’ We investigated whether any such illusion exists in a series of experiments in which we vary the degree of entasis from a negative value (columns waisted in the middle) through parallel sides to positive values (columns bulging in the middle). Our experiments presented 7 stimuli; 3 convex, 3 concave and 1 with truly parallel columns in a constant stimuli paradigm. Each stimulus was presented 30 times (to 12+ subjects) in pseudo-random order and results plotted as a psychometric function from which the PSE where columns appear neither convex nor concave determined. Several experiments, with more or less realistic column stimuli, failed to find any evidence to support any illusion-compensation theory. Secondly, we have explored the possibility that entasis was employed for purely aesthetic reasons. 5 computer-generated temples were judged for their aesthetic preference by 30 subjects. The temples differed in the application of entasis on the columns: 2 had negative entasis, 2 positive and one had parallel-sided columns. The results showed positive entasis as the least preferred aesthetically. Finally, we shall present some evidence supporting an engineering role for entasis.

entertainingなだけじゃなくて、今回は内容も印象に残った。一時期自分がアートとイリュージョンについて、考えて批評を読んでいたときは、vision scientistとして納得のいかない説明が多かった。そういう状況が文化についての学問ではよくあることだろう。そういうどうでもいい学問で、難しい文章でごまかすことを職業にしている人たちには腹が立つ。

D1 462 Stabilizing bistable visual patterns through interocular suppression, crowding, and inattention
Sheng He1 (sheng@umn.edu), Yi Jiang1, Xiangchuan Chen1; 1University of Minnesota
Alternating perception of bistable visual patterns can be slowed, and even halted, if the visual stimuli are presented intermittently and periodically removed from view. Here we demonstrate the similar stabilization effect of a number of different bistable visual patterns by interrupting the conscious experience of the bistable stimuli through interocular suppression, crowding, or removal of attention. Specifically, we found that: (1) Binocular rivalry: the perceptual switch of binocular rivalry could be dramatically slowed down by intermittently adding distractors around the rivalry stimulus and by intermittently engaging observers attention on a demanding task away from the rivalry stimulus. This observation is consistent with recent discoveries of attentional modulation of rivalry speeds. (2) Bistable rotating sphere: the perceived directional switch of a bistable rotating sphere defined by structure from motion patterns could be stabilized by intermittently rendering the bistable stimulus invisible through interocular suppression as well as through crowding. Inattention was also effective in stabilizing rotation. These observations imply that the neural stages of interocular suppression and crowding precede that of the structure from motion. (3) Bistable plaid: The perceptual alternation between two component gratings sliding across each other and a single coherently moving plaid could be stabilized with intermittent interocular suppression. Such an observation also suggests that interocular suppression disrupts information processing before the engagement of the neural mechanism responsible for component vs. pattern motion. Taken together, these observations indicate that interocular suppression, crowding, and the removal of attention are all nearly as effective as physical removal of bistable stimuli in perceptual stabilization. These observations also support the critical role of attention in facilitating perceptual alternations of bistable stimuli.

これは、自分でもまったくおなじ実験をして、同じデータを得ている。でも、ここまでしかsheng heでもいってないのかという印象だった。見えない間に、刺激に変化を与えて、stabilizationを壊す実験はしていないらしい。でも、1をいえば100ぐらいわかっている印象だった。

D22 483 Subjective area size influences time perception
Fuminori Ono1 (fuminori@med.juntendo.ac.jp), Jun-ichiro Kawahara2; 1Juntendo
University, 2National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
The perceived duration of events is affected by non-temporal attributes of stimuli, such as the number of components, size, or complexity. Presenting an observer with more stimuli tends to result in an overestimated duration. Although previous studies have suggested that time perception is influenced by the physical attributes of stimuli, it is not known whether time perception is influenced by differences in the subjective appearance of physically identical stimuli. Specifically, we examined whether the subjective area size of the critical object in an Ebbinghaus illusion influences its time perception. We measured the perception of time spent looking at visual objects whose perceived area size was altered by the Ebbinghaus illusion, in which a central circle surrounded by large inducers appears to be smaller than a central circle of the same size surrounded by small inducers. In the experimental trial, one of two types of surrounding circle (the subjectively large or small conditions) was randomly displayed for 1500 ms. The central circle appeared for either 150 or 350 ms. The participants estimated the duration of the central circle. The results showed that the perceived duration of the subjectively large condition was longer than that of the subjectively small condition, although the actual area size remained invariant. This suggests that later visual processing systems influence time perception, because the Ebbinghaus illusion is a prototype for size contrast illusions that affect cognitive judgment by introducing bias into the processing of information at a higher level of visual processing (Coren & Enns, 1993). In summary, these results are the first to show the effect of a size contrast illusion (the Ebbinghaus illusion) on processing the temporal characteristics of a stimulus. This indicates that the time perception of visual events is influenced by higher-level representation of visual processing.

この実験はやるべきだとおもっていたけど、すごくきれいな結果が出ていた。theory of magnitudeを基にほかにも大きさのようなmagnitude的なものと時間の関係を調べたら面白い。

あと、日曜のポスターでの印象としては、binocular rivalryとかpsychophysicsでやることはもうすぐなくなるだろうという予測とは反対に、けっこうたくさんのひとがそれぞれ意味のある発見をしていることに驚いた。time perceptionは増えてはいるが、まだ爆発的な量になっていないから、それほど激しい競争なしで、おもしろい発見ができるフィールドだとおもった。rivalryはほとんど、アイデア的にはすでに考えたことのあるものばかりだった。

E74 623 Is residual vision in monkeys with unilateral lesion in the primary visual cortex like normal, near-threshold vision?
Masatoshi Yoshida1,2 (myoshi@nips.ac.jp), Kana Takaura1,2, Tadashi Isa1,2,3;
1Dept Developmental Physiol, Natl Inst Physiol Sci, Okazaki, Japan, 2School of
Life Science, The Grad Univ for Adv Stud, Hayama, Japan, 3CREST, JST,
Kawaguchi, Japan
Some of the patients with damages in the primary visual cortex (V1) retain their ability to localize visual targets in their affected hemifield (‘blindsight’or ‘residual vision’). One of the controversies about blindsight is whether it is a form of near-threshold vision or qualitatively different from normal vision. However, the extent of damage of the patients was not necessarily complete and restricted within V1, thus leaving the question unsolved. Here we used monkeys with unilateral lesion in V1 as an animal model of blindsight and examined whether the monkeys’ residual vision is a kind of attenuated vision that can be mimicked by presenting nearthreshold stimuli to their intact visual hemifield. After the unilateral removal of V1, two monkeys were tested with a visually guided saccade task with a target in one of five possible directions either in the intact or affected hemifield. The monkeys correctly localized the saccadic targets presented in the affected hemifield (70-95 % correct), while the accuracy of the saccade was worse than that of the intact hemifield, as quantified by the variance and the systematic errors in the saccadic end points. Then the monkeys were tested with near-threshold stimuli in the intact hemifield. Near-threshold stimuli were constructed either (1) by reducing luminance contrast or (2) by increasing spatial ambiguity. In both near-threshold conditions (70-90 % correct), the variance and the systematic errors in the saccadic end points were far smaller than that of the affected hemifield. The saccadic reaction time in the near-threshold condition was longer than that of the affected hemifield. These results suggest that the behavioral effects of V1 lesion are not limited to vision, but V1 lesion affected visuomotor processing including the saccade control system and/or decision process. We conclude that the residual vision of monkeys with V1 lesion is not like normal, near-threshold vision.

サルのV1をとってblindsight状態でsaccadeがどうなったかって言う話。2秒まってからもサッカードできるっていうことに一番驚いた。じゃあ、見えてるんじゃないかっておもうところだけど、coweyタスクでyes/noにするとnoと答えるということからたぶん見えてないだろう。クリストフの3秒待ち仮説は、この実験結果と合致していない。そこのところが考えさせられる。あと、日本でちゃんと意識の研究をしている人をみると、やや嬉しい。

E83 632 Personifying Inanimate Objects in Synaesthesia
Jonathan Carriere1 (jcarrier@watarts.uwaterloo.ca), Kelly Malcolmson1, Meghan
Eller1, Donna Kwan1, Michael Reynolds2, Daniel Smilek1; 1University of Waterloo, 2Trent University
We report a case study of an individual (TE) for whom inanimate objects, such as letters, numbers, simple shapes, and even furniture, are experienced as having richly detailed, personalities. TE reports that her objectpersonality pairings have been there for as long as she can remember, are stable over time, occur independent of her intentions, and that this is true even for novel objects. In these respects, her experiences denote synaesthesia. We show that TE’s object-personality pairings are indeed consistent over time; she correctly recognized 91% of the personality attributes for familiar objects (3.4 SD greater than the control mean of 47%), and 80% of the attributes for novel objects (2.3 SD greater than the control mean of 57%), when presented with a selection of attributes previously provided for the same or other objects. A qualitative analysis of TE’s personality descriptions revealed her personifications are extremely detailed and multidimensional, with familiar and novel objects differing in specific ways – familiar objects having more social characteristics than novel objects in particular. We also show that TE’s visual attention can be biased by the emotional associations she has with personalities elicited by letters and numbers. In a free viewing task the valence of TE’s object-personality associations had predicted effects on object fixation tendencies. On average, TE fixated negative objects less often than positive objects. She also demonstrated attentional capture by negative objects, fixating negative objects longer than positive objects. Controls showed no significant differences. These findings demonstrate that synaesthesia can involve complex personifications for inanimate objects, which can influence the degree of visual attention paid to those objects.

これおもしろそうだったけど、発表者を発見できず。気になったまま、おわり。

きょうは、午前のトークもできるだけ見ようっと。

金井





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Suns@MITの報告: Boundary Extension and RSC

二月の初頭にボストンでSuns というシンポジウムを見に行った。そこで話している人たちが、そうそうたるメンバーだったから楽しみにしていた。

すべてのトークについて細かく書いていく時間はないが、印象深かったものを少しずつ書き留めておこうと思う。

一番最初のHelene IntraubのトークはBoundary Extensionという心理学の現象についてだった。それは下のような写真を見てから、記憶にたよって後でその写真を描いてもらうと、ほとんどのひとが写真には写っていない外側の部分まで描いてしまうという現象だ。写真のイメージが、記憶の中でそこから想像させられるところまで広がっているようなのだ。

Picture_5_1








元の写真がワイドアングルだと、さらに記憶の中では広がる。

Picture_6_1








Intraub & Richardson (1989)より。


この現象自体は、確かに存在するようだが、そこまで意味のある現象だとは今まで思っていなかった。景色の記憶の研究としては、ほんの一面しかとらえていないように思えたからだ。

その後のMarvin Chunのトークを聞いて、その考えを改めさせられた。彼らは、fMRIで同じ写真を二度みせたときのadaptationの度合いを調べた。fMRI adaptationとうパラダイムだ。一度目にクローズアップの写真を見せたら、記憶の中でそれがワイドアングルになっているから、あたかも同じ写真を二枚見せているかのように、アダプテーションが起きるだろうという論理だ。その条件と、先にワイドアングルを見せてからクローズアップを見せる条件とを、場所に選択的に反応する脳の領域、PPA(parahippocampal place area)とRSC(retrosplenial cortex)で比べた。

同じ二枚の写真を見せているにも関わらず、クローズアップ、ワイドアングルの順で見せたときだけに、アダプテーションがRSCで起きていた。PPAは、おなじクローズアップ(またはワイドアングル)を二回連続で見せたときに大きなアダプテーションを示していた。

この研究の意義は:

  • Boundary extensionがRSCの活動としてリアルになったということ。
  • RSCとPPAの機能的な違いを示していること。
  • その結果として、Boundary extensionをassociativeな記憶として扱う視点が生まれたこと。

その後で、Moshe Bar が話した。BarはRSCがコンテクストの分析に関わっているといっていて(Bar (2004))、Chunの発見はその話ともぴったり一致する結果だ。

RSCに今まであまり注意していなかったが、これからもっと研究が盛んになるだろう。



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ASSC-意識の学会

意識を研究している人たちが世界中から集まる、ASSC (Association for Scientific Studies of Consciousness) という学会がある。次回は、6月末でラスベガスで開催される(ASSC 2007)。参加登録はおそらく今月(2月)中だろう。

過去に3回参加したことがあるが、学会としてのクオリティーはどんどんよくなっているように思える。通常の学会と違うところは、かなり多方面の科学者や哲学者と意識について話し合うことができることだ。自分の専門でない分野で、どのようなアプローチで意識を研究しようとしているか見るのは、ものすごく勉強になる。

とくに、これから意識を研究したいと思っている人には、この学会にいって、まずどんな方法があるのか一通り見てみるというのも得策かもしれない。



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Anatomy of Time Workshop at UCL

Time Perceptionの研究の歴史は長いが、時間の長さの知覚が脳内でどう表現されているかという問題は、古くさい心理学の論文ばかりで割と最近まで真剣にニューロサイエンスは扱ってこなかった。

昔からの時間知覚を研究してきた心理学者と、新しく出てきた視覚の心理物理学者の間で若干ギャップがあるようだ。2007年3月にロンドンで、時間の知覚についてのワークショップがある(詳細は以下の通り)が、時間知覚について、新旧の研究者間での交流の場として興味深い。多方面の時間研究者が集まることになっている。私自身の研究分野からすると、MorroneやWalshはなじみが深いが、Wearden、Ivry、Rammsayerなど前から時間を研究しているから論文は知っているが、あまりpsychophysistとしては共感の持てないという印象を持っていた。それでも、現在のはやりで時間の分野に流入していく視覚研究者よりもずっと前から時間知覚に注目してきた人たちはどういう人か気になる。いまのところ参加予定中。

UCL INSTITUTE OF COGNITIVE NEUROSCIENCE

ANATOMY OF TIME WORKSHOP

Saturday 24 March, 2007

Hosted by Dr Penny Lewis & Professor Vincent Walsh

Venue:  Institute of Cognitive Neuroscience, Alexandra House, 17 Queen Square, London  WC1N 3AR

9.15 – 9.45        Coffee and Registration

9.45 – 10.00        Introduction by Workshop Host
            Professor Vincent Walsh, UCL Institute of Cognitive Neuroscience

            Chair: Professor Richard Ivry

10.00 – 10.45    Professor Charalambos P Kyriacou
Department of Genetics, University of Leicester
THEME:    Genetics of time from flies to humans

10.45 – 11.30    Professor Concetta Morrone
Dept of Psychology, University of Florence & Institute of Neuroscience, Pisa
THEME:        Spatio-temporal compression and saccades 

    11.30 – 12.15        Professor Peter Dayan
                Gatsby Computational Neuroscience Unit, University College London
    THEME:        Temporal differencing            

12.15 – 13.45        Lunch

            Chair: Professor John Wearden

13.45 – 14.30        Professor Thomas Rammsayer
Georg-Elias-Müller-Institut für Psychologie, Universität Göttingen
    THEME:        Pharmacology of Time Perception

14.30 – 15.15        Dr Domenica Bueti
            UCL Institute of Cognitive Neuroscience
THEME:        Differences between perception and action timing and timing in sensory cortex

15.15 – 16.00        Dr Penny Lewis
            School of Psychology, University of Liverpool            
THEME:        Fronto-parietal and subcortical distinctions in automatic and cognitive timing       

16.00 – 16.30        Tea

16.30 – 17.15        Professor Nicola Clayton
                    Comparative Psychology of Learning & Cognition Lab, University of Cambridge
THEME:        Mental time travel in animals    

17.15 – 18.00        General Discussion
                Discussant:  Professor John Wearden
                School of Psychology, University of Keele

REGISTRATION:  To attend the WORKSHOP you MUST register
Please contact: Rosalyn Lawrence, Secretary, Institute of Cognitive Neuroscience.  Email: rosalyn.lawrence@ucl.ac.uk


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